テレビドラマなどを見ていて、気になったことはないでしょうか? どうして手術衣が、緑色をしているのかと、・・・。
まず予備知識として知っておきたいのは、目に見える範囲のいわゆる可視光線は、波長が380〜780nm(ナノメーター)の長さで、一般的に780nmを越えるものを赤外線、380nmより短いものを紫外線と呼んでいます。手術するという事は、鮮血を見るという事ですから、かたよった波長の色を、集中して見続けるということになります。手術が長引けば長引くほど、血の赤が目に焼きつくことになります。
さて、ここに「補色」というものがありますが、色環でいうと反対側にある色のことです。橙色の隣の色は、黄色であったり赤であったりしますが、これは色相が近いといい、一番遠くにある色が補色です。補色どうしは、相手の色を引き立たせようとする働きがあります。使い方によっては、喧嘩のする色同士でもあります。喧嘩しないように、補色同士の間に無彩色を入れたりします。
補色には相手の色を引き立たせる働きがあるのですから、たとえば広い緑の草原に小さな赤い屋根の家があったとしたら目立ちます。山で遭難したときは赤い服を着ていたほうが、空のヘリコプターの救助隊が見つけやすくなるかもしれません。海では大海原の黄色い救命ボートが見つかりやすいかもしれません。
逆にカモフラージュしたいときは、同系色の色を選びます。森に隠れるときは迷彩色が目立ちません。敵からも身を守れます。大怪我をしたときは、味方からも見捨てられる可能性があります。人形劇の舞台では黒と言うのが定番です。存在を隠してくれて人形を引き立てます。マジックエプロンでは、演者が明らかに舞台に登場しているのですから、黒い服装になる必要はありません。
もし、手術室に赤の補色である緑系統の色がなければ、ふと壁などに目をやった時に、補色の緑色がちらつくことになります。そのちらつきが手術に影響するとも限りません。補色のいたずらを避けるために、手術衣や手術室の壁を緑系統にすることがあります。こうすることによって、喧嘩がなくなります。
マジックエプロンは、人形劇、演劇、素話しの三つの要素を併せ持ち、エプロンが舞台背景となって、ポケットなどから人形が飛び出して演じるというものです。制作時に気をつけたいのは、エプロンが舞台背景となるのですから、背景の色と同系統の色で人形を作ると、人形が映えてきません。そこで背景となる色の補色をベースにして、人形を制作していきます。
身の回りに、補色の効果を利用しているものがないか探してください。もし見つかったら、私のところまで御一報ください。「発見できて、よかったですね」と返信させていただきます。
チャンチャン。/(^_^)v
参考:手術衣が緑色のわけ