マジックエプロン台本
ジャックと豆の木
[あらすじ]
大切な牛を手放しましたが、魔法の豆のおかげで幸せが舞い込むアイルランド民話です。ジャックがめうしと取りかえた豆は、天まで届く豆の木になりました。ジャックは、豆の木をどんどん登って、雲のうえの国にたどりつきます。そこには、お城のような家があって、恐ろしい人食い鬼が住んでいました。ジャックは、鬼が眠っている間に、金貨と、金のたまごを生むにわとりと、金のたてごとを次々に盗み出します。でも、金のたてごとを盗んだ日、とうとう鬼はジャックに気づき、ジャックを追いかけてきました。ジャックは、走りに走り、死にものぐるいで豆の木をおりますが……。
(絵本「ジャックと豆の木」より)

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[台本] |
(牛は、草を食べている。家にジャックと母。天の城に大男と鶏。隠しポケットに豆の準備) |
演者 | 「昔々、ジャックという男の子が、お母さんと一緒に暮らしていました。ジャックの家は貧乏で、パンやチーズを買うお金がありませんでした。そこで、ジャックのお母さんは言いました」 |
母 | 「(ジャックや、町に行って牛を売って来ておくれ。もう家にはお金がないんだよ)」 |
ジャック | 「(わかったよ。お母さん)」 |
(ジャック、外にでてきて、家の下手に配置) |
ジャック | 「子牛の頃から大事に育ててきたお前だけど、お別れだ。ぼくについておいで」 |
牛 | 「(悲しそうに)もうーっ」 |
(ジャックと牛、下手の隠しポケットに退場) |
演者 | 「町に牛を連れて行ったジャックでしたが、いっこうに牛は売れません。ジャックがしょんぼりしているところに、一人の男が現れ、『その牛と魔法の豆と取り替えよう』言われ、ジャックは牛と豆を取り替えてしまいました」 |
(ジャック、下手から登場し家の前に) |
ジャック | 「お母さん、ただいま!」 |
(母、家からでてきて、ドアの前に) |
母 | 「おやまあ、牛が売れたんだね」 |
ジャック | 「牛が売れたんじゃなくて」 |
(隠しポケットから豆を出し、ジャックに持たせる) |
ジャック | 「この魔法の豆と交換したんだ」 |
母 | 「まあ、何てことしたの? 魔法の豆って、こんなの普通の豆じゃないの」 |
(母、ぽいっ!と豆を畑に投げる) |
ジャック | 「あっ、あれは魔法の豆だったのに」 |
母 | 「だまされたのよ。しょうがないわ。小さなお前に町まで行かせた、私が悪かったのよ。さあ、家に入りなさい」 |
ジャック | 「ごめんなさい」 |
(二人、家の中に入る) |
演者 | 「さて、その夜のことでした。ぽいと捨てられた豆が、ことりと動いて、にょきりにょきにょきと芽がでてきました」 |
(豆の木をエプロンの中ほどまで伸ばす) |
演者 | 「朝にはもっと伸びて、空にある雲にまで届きました」 |
(豆の木を伸ばして、雲の上手に届く) |
演者 | 「そうとは知らず、ジャックは朝目を覚まし、外にでました」 |
(ジャック、家の外に) |
ジャック | 「ぼくが悪かったんだ。あんなにお母さんを悲しまして、・・・。あれ? この木は何だ? 豆の木だ。そうか、昨日の魔法の豆が芽を出したんだ。やっぱり、魔法の豆の木だったんだ。いったいどこまで伸びているんだろう。登ってみよう」 |
(ジャックを手の持ち、豆の木を登る動作) |
ジャック | 「雲の上まで届いているぞ」 |
(ジャック、城の上手に配置) |
ジャック | 「こんなところにお城があるなんて。誰かいませんか?」 |
鶏 | 「コッコッコッコ・・・」 |
(城から鶏登場。城の下手に配置) |
ジャック | 「ニワトリだ。誰のかなあ。誰かいませんか? ・・・。誰もいないみたい。そうか、これは、魔法の豆が授けてくれたんだ。ぼくが、お母さんを悲しませたから。このニワトリを持って帰ったら、お母さん、機嫌直してくれるに違いない」 |
(ジャックは鶏を抱え、豆の木を降りていく。木の中ほどに配置したら、城から大男出てくる。城の下手に配置) |
大男 | 「今、誰か俺を呼ばなかったか? よく寝ていたからわからなかったが」 |
(大男、少し傾け、下を見る) |
大男 | 「ありゃりゃ、あれは、人間の男の子。美味そうだなあ。おいおい、あいつが抱えているのは、俺のニワトリじゃいか。さては、あいつ、この木を登って、俺のニワトリを盗みに来たんだな。ようし、見ていろ!」 |
(ジャック、木を降りて、家の前へ。大男、木を降りてくる) |
ジャック | 「あっ、大男が降りてくる」 |
大男 | 「こら! 俺のニワトリを返せ! 今からそこに降りていって、ニワトリを取り戻してやる。ついでに、お前は食ってやる」 |
(大男、木の中ほどに配置) |
演者 | 「ジャックの小さな体を支えるのがやっとの豆の木。大男が乗ったから、さあ大変。豆の木は、根元からぽきりと折れて、大男は木とともに地面に真っ逆さま」 |
大男 | 「わあーっ!」 |
(大男と木を畑の中にしまう) |
演者 | 「大男も豆の木も、地面に吸い込まれてしまいました」 |
(母、家から出てきて) |
母 | 「どうしたの? そのニワトリ」 |
ジャック | 「昨日の魔法の豆が、授けてくれたんだ」 |
母 | 「まだ、そんな夢みたいなこと言っているの?」 |
鶏 | 「コッコッコッコ、コケッコッコー!」 |
(金の卵を取り出して、鶏を庭に配置) |
母 | 「まあなんてこと。このニワトリ、金の卵を産んだわ。魔法の豆のこと、本当だったのね、ジャック」 |
ジャック | 「うん。この金の卵で、パンやチーズが買えるね、お母さん」 |
母 | 「ジャック、ありがとう」 |
演者 | 「その後、二人は、幸せに暮らしたということです。『ジャックと豆の木』というお話はこれで、おわり」
参考:マジックエプロン「ジャックと豆の木」台本
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