書割の作り方書割(かきわり)というのは、舞台背景の前に張り出した、家とか木とかの大道具の絵のことを言います。書割が大きいと、いくつかのパーツに分けて、釘と角材を使って裏でつなぎ合わせて大きくいます。要するに大きいと収納に困るし、遠くに移動するときは、トラックにも乗らなくなります。人が取り扱いやすい大きさにして、割って絵を描きます。だから、書割です。現場で組み立てて完成させます。 舞台に書割があるのとないのとでは、場面が一変します。書割があるだけで、その舞台に立体感が生まれます。書割の配置する位置によって、場所の設定を変更することができます。そういう意味では、パネルシアターとよく似ています。外にあるものを絵人形にして、パネルボードに貼付すると、外の場面になります。部屋の中にあるものを配置すると、その場面は部屋の中になります。舞台自体は同じなのに、書割の絵の違いによって、場面転換が出来るのです。 大きな書割を作るときは、パネル板を何枚もつなぎ、その上に絵を描きます。いらない部分はあとでカットします。パネル板は、寸角材で枠を作り、その上にベニヤ板を張ります。ベニヤの上にじかに絵を描き、色を塗ると、絵の具がしみこむ分、絵の具がたくさんいります。そこで、ベニヤに薄紙を貼って絵を描きます。薄紙の色によっては、下地に白色を塗っておきます。そうすると上の絵が映えてきます。ばらばらになった書割を一つにすると、つなぎ目の線が目立つことがあります。目張りをして周囲の色を塗って隠します。 また、書割とつなげる作業には、大道具の必需品なぐり(釘打ち・釘抜き用、玄能・金鎚)も欠かせません。 薄いベニヤならカッターで切れなくもないですが、ジグソーを使うと簡単に自由カットが出来ます。くねくね切っていくので、コードが絡まったり、引っかかったりすることがあります。そのときは、コードレスのジグソーがほしかったと思うかもしれません。周囲に蛇腹の縁を回せば、トリマーで曲線もカットできます。窓の中抜けカットは、トリマーがいちばん便利です。カットした部分は、薄紙がはがれてくる場合があるので、裏に折り返しておきます。下絵は見本の絵を拡大して描いていきます。OHPなどを使って下絵を写し取る方法もあります。 書割は舞台の上にあるものだけではありません。観光地などに行くと、その地の有名人の書割が置いてあって、顔の部分だけ抜けています。そこから顔を出して記念撮影をします。また、道路でこどもがよく横断するところには、「飛び出し 注意!」の文字と一緒にこどもの交通安全の書割が設置されています。これらの書割は、舞台の書割とは少し違います。風雨にさらされるので、2.5mmのベニヤではすぐだめになってしまいます。12mmのコンパネ(クンクリートパネル)を使います。自立させるためには、しっかりした金具を使ったり、コンクリートの重しが必要になったりしてきます。また、舞台の書割の裏は、客席に見えないので気を使わなくてもいいです。芝居の進行表が貼ってあっても構いません。でも、屋外の書割は、両面に絵を描かなければならない場合があります。
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