赤鬼と小坊主
はじめに
パネルシアター「赤鬼と小坊主」は、よく節分が近づくとご注文を承ります。直接節分とは関係ないのですが、悪い鬼がやって来てやっつけるのが、「福は内、鬼は外」と追い払うのとどこか似ているところがあるのかもしれません。厄除けに豆を食べるというのも、どこか通じるものがあります。
赤鬼というと、「泣いた赤おに」とか「赤鬼と青鬼のタンゴ」が有名かと思います。ちなみに私はべっかんこ鬼の人形劇をしたことがありましたが。ここに登場する鬼は、人を食ってやろうかという鬼ですが、こどもの知恵に勝るものはなく、逆に団子にして食べられてしまう鬼です。人間を食べに里に下りてきた赤鬼でしたが、一休さんのようにとんちのきく小坊主にまんまとしてやられるというお話です。こどもたちは、そんな愉快なストーリィを楽しみます。大人になると別の見方もしてしまいます。鬼というのは、恐ろしくて強いものの象徴です。その恐ろしく強いものは、外にあるのではなく、自分の中に秘められているんだというふうに。
アニメ「friends もののけ島のナキ」2011
出演: 香取慎吾, 山寺宏一, YOU, 加藤清史郎, FROGMANほか
監督: 山崎 貴, 八木竜一
時間: 87 分
まんが日本昔ばなし
出演:市原悦子、常田富士男
子どもから大人まで幅広い層に親しまれた名作アニメシリーズ「まんが日本昔ばなし」のBOX第1弾。
こぶとり爺さん
鬼からもらった力
初夢長者
豆まきをしない人
桃太郎/パネルシアター
人間って何だ
正義のジレンマ
ものがたり
昔々のお話です。ある山に赤鬼が住んでいました。
赤鬼の頭には、ピンクの可愛い角が2本ありましたが、口は耳まで裂け、2本の大きな牙が天を向いていました。少しでもつかまれようものなら、鋭いつめに引っかかり、傷だらけにされてしまいます。
「や、ははは。山のもんはもう食べあきたわい。今日は、里に下りて行って、人間を食ってやる。や、ははは」
大きな足でずしりずしりと山を下りていきました。
里には、一軒のお寺がありました。そこには、一人の修行をしている小坊主さんがおりました。
「朝早く起きて、境内の掃除。掃除が終わったら、朝ごはんのしたく。食事が済んだら、お経の練習。お客様が来られると、お経を止めて、お客様にお茶をお出しする。休む暇もなく、次から次へとやらなくっちゃいけないことがあって、・・。おや、誰かお客様かな」
お客様なんかではありません。さっき山を下りてきたばかりの赤鬼でした。
「(わあ、赤鬼だ。ここは、落ちついて落ちついて、あわてると赤鬼の思うつぼ)。やあ、赤鬼さん、こんにちは」
「ここにいるのはお前一人か?」
「は、はい。和尚様は、今朝から檀家様のところに用事で出かけております。ご用なら私がお伺いします」
「いや、和尚に用があるわけではない。うまい人間、・・。いやいや、うまい山葡萄があるから、ほしければその場所を教えてやるだ」
「(きっと、この赤鬼、私をだまして食べる気だ)。それで、その山葡萄があるところはどこですか?」
「これが、ややこしいところで、一緒について行ってやるから、今から出かけよう」
「(やっぱり、だまして連れ出す気だ)」
小坊主さんは、とっさにいい考えが浮かびました。
「出かける前に、ひとつ頼みがあります」
赤鬼は、こいつが食べられるんだったら、頼みのひとつぐらいまあいいかと、
「頼みというのは何だ?」と言いました。
「赤鬼さんは、とっても化けるのがうまいって聞いていますが、その技を一回見せてください」
「そんなこと、おやすいこと。どどーんどんどん、どろろんどん! 山猿になーれ」
赤鬼は、大きな山猿に化けました。・・・
参考:パネルシアター「赤鬼と小坊主」の台本
団子と餅の違い
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