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台本例「しりとり動物園」

しりとりしましょ では、実際のパネルシアターの台本を見てみましょう。
例:パネルシアター「しりとり動物園

動物園 動物園の文化史 揺れる動物園 アニマルリゾート

(演者は下手に立っている)
演者 「動物園に行こうと思って、今日はここにやっていました。確かこの辺りに、動物園があるって聞いたんだけど、・・・」
(演者、上手に移動する。移動するとき体に隠して、『しりとり動物園』の矢印を貼る。上手や正面を見ながら)
演者 「おかしいなあ。確かこの辺りだって、・・・」
(演者、矢印に気がついて)
演者 「『しりとり動物園』。あ、向こうの方角か」
(演者下手に歩く。体に隠して、矢印を取る)
演者 「ここが、『しりとり動物園』か。でも、動物たち誰もいないみたい」
(ゴリラ、登場)
ゴリラ 「ようこそ『しりとり動物園』へ。私はゴリラのゴリです」
演者 「ゴリラさんのほかに誰もいないの?」
ゴリラ 「動物たちは、たくさんいるけど、しりとりをしなければ見ることはできません」
演者 「しりとりは得意だから、大丈夫」
ゴリラ 「じゃあ、はじめましょう。私が最初です。ゴリラの"ラ"。ラのつく動物の名前を言ってください」
演者 「そんなの簡単よ。"ラ"は、ライオン」
(ライオン、登場)
ライオン 「誰だい、私を呼んだのは?」
演者 「『しりとり動物園』を見学に来たものです」…
参考:パネルシアター「しりとり動物園」の台本

しりとり動物園標識 解説:
 上記の台本は、はじめの一場面しか書かれていません。丸括弧でくくられているところは、ト書きと言って、台詞だけでは表現できない動作などを説明しています。台本の上下に欄の設けることもありますし、字下げをして台詞と区別したりします。ここでは丸括弧で囲んでいます。

 自分で作って自分で演じるときは、台本は要らないかもしれません。頭の中に台本を書いておけばいいですから。でも、誰かといっしょにするときは、台本を作ります。ト書きもそんなにたくさんいらないかもしれませんし、相手が新人だと、詳しく説明がいるかもしれません。(ゴリラ登場)と書いても、上手か下手かわかりません。演じる人に任せるのならそれでもいいでしょう。

 台本は、びっしり字をつめないほうがいいものです。ある部分の効果音を入れたいとします。それを書き込む余白をあらかじめ残しておきます。

 この台本は、一人で演じるようになっています。でも、二人で演じることも出来ます。ライオンは「ん」が付くので退場しますが、このあとラクダ、ダチョウと出てきますから、出てきた動物の数で演じることも出来ます。元の台本があっても、さらに脚色されるのが台本の運命です。

 台本には、はじめ方や終わり方が書いていません。それは、観客によって変るからです。ですから普通台本の通り演じて終わることは稀です。特にパネルシアターではそうなります。このパネルシアターのあとに、『しりとりの特訓』と称して、動物のしりとりをみんなでするかもしれませんし、"ん"を誰かが言ったりして、次の動物の名前が出てこなかったりすれば、「まだまだ修行が足りん。今日はここまで。残念!」と言ったりして終わるかもしれません。

 台本通りに演じたのでは面白さは半減します。台本は、演者と絵人形の対話になっていますが、こども達と一緒に考えながら演じることが大切です。それが練習と本番の舞台との違いになります。本番の練習というのはありませんから、練習に工夫が必要です。本番に見立てて、誰か親しい人に見てもらうとか、それでも本番は経験できませんから、経験を積むしかないです。ダチョウの次にウサギが出てこずに、客席がウシと言ったら、予定の動物が出てくるようなテクニックも必要ないなってきます。

 台本はあくまで基本的なことしか書かれていませんので、書籍の文章には行間があるように、何か書かれています。台本は、その行間が必要以上の広いですから、より多くのものが書かれていると思って間違いありません。何がかかれてあるのか、同じ台本で何度も舞台を踏まないとわかりません。

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