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人形劇脚本

昔話人形劇「カラス売り」の台本

この人形劇は昔話に出てくるきっちょむさんの話がヒントになっています。きっちょむさんは一休さんのようにトンチがきいて、民衆の見方です。どこかとぼけたところがあり、こども達にも大人気です。そんな数ある彼の話の中で烏売りの話しを題材にしています。

[登場人物]
夫(四郎)
妻(かね)
町人
烏、雉、籠、お金、竹

吉四六さん 吉四六さん (寺村輝夫のとんち話)
寺村 輝夫 (著), ヒサ クニヒコ (イラスト)
単行本: 111ページ
出版社: あかね書房 (1976/10/25)

台本(全3幕)
ナレーター「昔、ある村に貧乏な夫婦がおりました。夫の四郎は働くのが苦手なもので稼ぎがありません。妻のかねはそんな四郎につらく当たります」
(幕開く。夫婦板付きで登場。家の中、夫婦の会話)
かね「あんたが働かないから、家はいつまでだっても貧乏なんだよ。明日のお飯もありゃしない。怠けていないで働いてくださいよ」
四郎「仕事が見つからないから仕方ないだろう」
かね「この前獲っときた雉でも食べて飢えをしのぐしかないねえ」
四郎「何言っているんだい。雉の羽はとてもきれいで縁起がいいだぞ。家が繁盛するかもしれないんだぞ」
かね「じゃあ何でいつまでたっても家は貧乏なんだい。エサ代だって馬鹿にならないし。この前なんか、やっと卵を産んでくれたのに、カラスにみんな横取りされちまってね」
四郎「何。よしカラスにお仕置きだ。カラスをとっ捕まえて売って金に換えよう」
かね「カラスなんか買う人かいませんよ。それより雉を売ってきておくれよ」

(暗転、町の往来)
ナレーター「夫は籠を担いで町に雉を売りに出ました」
(下手から籠を背負った四郎がゆっくり登場。籠の蓋の上には雉が乗っている)
四郎「カラスはいらんかねえ。カラスはいらんかねえ」
(舞台中央まできたとき、上手から町人登場)
町人「おやあ、カラスを売っているのに、籠には雉が乗っている。烏と雉の見分けもつかないバカな行商人だ」
(お互い気づく)
町人「おまえさん、カラスを売ってなさるか?」
四郎「へえ。カラスでも飼ってくれないかと思って町にやってきただ」
町人「烏ねえ。カラスなんか買う物好きが町にいると思えねえ。焼いて食べたら案外うまいて話は聞いたことあるけど」
四郎「飼っているだけで、ネズミ除けにもなりますよ。買ってくれませんか?」
町人「で、その烏いくらだい?」
四郎「へえ、10銭でございます」
町人「ほう10銭か。(向きを変え一人言のように言う)烏が10銭なら高いが、雉なら安い。雉は50銭はするからなあ。」
四郎「あのお、10銭じゃ高いですか?」
町人「そうさなあ。10銭は高いなあ。普通は5銭もしない」
四郎「じゃあ2羽10銭ではどうですか?」
町人「烏はまだあるのか?」
四郎「へえ。背負っている籠の中に元気なカラスが入っております」
町人「2羽で10銭だな。それならわしが買ってやろう」
四郎「ありがとうございます。帰って女房にもがみがみ言われなくて済みます」
町人「おまえさんも大変だねえ」
四郎「お代を先にいただいていいですか? 町の人の中には田舎もんをだます人がいると聞いたことがあるので」
町人「わしはそんな悪人ではない。おまえさんこそ、銭を受け取ったとたんに逃げるなよ。ほれ10銭だ」
(10銭を渡す)
四郎「ありがとうございます。ちょっと待ってくださいよ。籠の中のから元気なカラスを出しますから」
(籠の蓋を開けカラスを二羽出す。町人の足元において。また籠を担いで行商に出る)
四郎「カラスはいらんかねえ。カラスはいらんかねえ」
(上手に退場。カラス、ばたばたと下手に飛んで行く)
町人「こらー、待てーえ。わしの10銭もどって来ーい!」
(町人下手に退場)

(暗転。家の前、下手に作りかけの竹垣がある。下手から四郎登場。竹を運んでくる)
四郎「ああ忙しい、忙しい」
(かね上手から登場)
かね「あんた何してるんだい」
四郎「見てわからないかい。竹垣をこしらえているんだよ」
かね「イタチでもやってくるのかい」
四郎「イタチでもキツネでもねえ。もっと恐いものが来るんだよ」
かね「猪かい?」
四郎「違うよ。ケンカだよ」
かね「ケンカ?」
四郎「そうだよ。近頃、となりのうちの夫婦はケンカばかりしているだろう。そのケンカが日に日にひどくなっている。そのうち家にもケンカがやってくる」
かね「ケンカなんかやって来やしませんよ」
四郎「ケンカはね、うつるんですよ」
かね「ケンカはうつりません」
四郎「うつってからでは遅いんですよ。大ケンカになって怪我をしたら大変だ」
かね「何を馬鹿なことばかり言っているんです」
四郎「竹垣をこしらえれば、ケンカを止められます」
かね「ケンカなんかやってきません。うつらないんですから」
四郎「うつるんですよ」
かね「うつらない」
四郎「わからずやだなあ。ケンカはうつるの!」
かね「うつらない!」
四郎「うつるったらうつるの!」
かね「うつらないったらうつらない!」
四郎「ほら、もううつったじゃないか」 (幕閉じる。終演)

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[板付き] 第1幕のはじめに板付き(いたつき)とありますが、板付きとは、幕が開いたときに登場人物が舞台にすでに登場している状態のことを言います。ここでは緞帳があったほうがいいですが、ないときは、舞台を暗くしておいてその状態で板つきになり、照明を入れた時点で劇を進めます。幕も照明もないときは、普通に下手から登場して、舞台中央で劇を始めればいいでしょう。

[台詞]
各場面には、二人の登場人物です。二人ですから、どちらかが必ず台詞を言っています。交互に言うことによって物語が進行します。しかし、人形が向かい合って会話していると、観客に台詞が伝わりにくくなります。本当に向かい合わせになるのではなく、客席に体を開いた状態で向かい合います。人形の姿自体が観客によく見えます。向かい合ったのでは、客席からは横顔ばかりを見ることになります

体を開きすぎると人形が会話していないように見えます。どちらの人物がしゃべっているかを区別するには、動いて台詞を言うようにします。というか台詞がないときは無闇に動かないことです。また会話で劇が進行するのですから、言い終わりのとき相手の人形を見て終わります。「次はあなたが言う番よ」という感じで相手に振って会話していきます。観客にも台詞の最後に人形の目線を感じて、次に誰が言うのかがよくわかります。

町人と四郎が出会うところは、どちらかと言うと町人が先に気づきます。町人の最初の台詞は、正面またはやや上手を向いて言うといいでしょう。その台詞の間に四郎も町人に気づき「何を言っているのかな」というような感じで、内容まで聞こえないが声だけ聞こえていると言う設定にします。そうすると台詞のない四郎の動きが生まれてきます。聞き耳を立てる動きが出てきます。

お金のやり取りは、あるつもりでやるのも手ですが、使うときは大き目の10銭を作り、やり取りします。ちょっとしたことが観客へのアピールになります。記事も首に糸をつければ、動かすことができます。ほんの小さな動きが生きている表現につながります。
参考:登場人物が二人の人形劇

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単行本: 581ページ、出版社: 金園社; 改訂新版 (2004/10)

町人の最後の台詞が落ちになっています。これはすぐわかりますが、第3幕の夫婦の会話の落ちは、お互いの掛け合いがうまくないと落ちになりません。息が合ってその状況が喧嘩しているんだとわかるように感情の高ぶりがないといけません。台本にある台詞だけでタイミングよく落ちにならないときは、アドリブの台詞でお互い口喧嘩して喧嘩になったとき落ちに持っていきます。

オチがあって終わる人形劇には余韻を作りにくいので、最後に演じた人が人形を持って各席に顔を見出るのもいいでしょう。

参考:
人形劇「カラス売り」の台本
パネルシアター「きっちょむさん話
人形劇脚本集

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人形劇の作り方


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