人形劇トムテ

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 人形劇 「ワンワン行進曲」

 台詞(セリフ)は人間の言葉じゃありません。犬語がわからない方は、犬のしぐさや表情で楽しんでいただけます。でも、犬は人間のいないところで、ペチャクチャ人間の言葉をしゃべっているかもしれません。

ワンワン行進曲/人形劇トムテ 形式:ギニョール
時間:12分
人形:カジハラ 啓伺
動物の音まねを楽しむ

WANWAN::ジョンのこと
 私が最初に飼ったのはアンゴラウサギでした。その次が、レストランで飼われていた小犬でした。それを両親がもらってきて、名前をジョンとつけました。雑種のシェパードでした。
 私が小学生の時、ジョンはボールを投げるとボールをとってきました。草むらに投げると探してきます。10メートルぐらいならキャッチもできます。私とジョンはそんなキャッチボールをしていました。別にボールでなくても、棒、小石、空缶などもとってきます。
 それを陰から見ていた中学生らが、池に石や空き瓶を投げてはジョンにとりに行かせました。取ってくるとほめてもらえるのを知っているので、水を飲んで苦しくても必死になって、沈んだ石や空き瓶を探しました。私が来ると中学生らはすぐに逃げてしまったけれど、ジョンは沈んだ空き瓶をいつまでも探し続けました。耳に水が入って私の声も届かないようです。やっと岸に上がってきたジョンに、私は何度もごめんを繰り返しました。それ以来、私はジョンにボールを投げて、取ってこさせるような事はしなくなりました。
 ジョンは、13年ぐらい生きていました。年で小さな溝も飛び越えられなくなり、車に跳ねられ死んでしまいました。父と二人で畑に行って、みかんの木の下にジョンを埋めました。そのそばに椿の木があって、真っ赤な花が咲いていました。その時から私は椿が好きになりました。 こんなにジョンの事をはっきり覚えているということは、今でも私はジョンとキャッチボールをしているのかもしれません。
 (作者不詳:Rainbow Bridgeの訳詩

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WANWAN:リキのこと
 おじいさんは、毎朝の散歩が日課です。家を出てすぐのところに、お地蔵様があり、そこで手をあわせて、古墳を一周します。帰りにまた、お地蔵様のところで手を合わせて、それから家に帰ります。
 その日は、朝から雨でした。いつものようにお地蔵様に手をあわせて、古墳を一周してきました。そして、またお地蔵様に手をあわせようとしたとき、何やら生き物の声がしました。
「くううん。くううん」
 泣き声は、お地蔵様の後ろから聞こえてきます。段ボール箱が置いてあって、子犬が三匹はいっていました。
「こんな雨の日に、拾われなかったら、凍えて死んでしまうかもしれん」

「まあ、かわいい」
 二人の女の子が、近づいてきました。姉妹のようです。
「この子犬、おじいさんの?」
「いいや。ここに捨てられていたんじゃ。ほしけりゃ、持っていきな」
 そのとき、二人のお母さんがやってきました。二人は、お母さんにとりついて、何とか子犬を連れて帰ってもらえることになりました。
 今度は、中学生らしき少年が通りかかりました。
「それ、おじいさんの子犬かい?」
「いいや。ここに捨てられていたんじゃ。ほしけりゃ、持っていきな。家で犬を飼ってもらえるのかい?」
「両親は、ぼくの言うなら、何でも聞いてくれるんだ」
 少年は、犬をかかえると、うれしそうに帰って行きました。

 おじいさんは、また誰かが通りかかって、子犬が拾われるのを期待していましたが、足を止める人はいませんでした。おじいさんは、横から雨が降りこまないように、首にかけていたタオルで箱をおおいました。そのとき、近所のおばさんが出てきました。
「捨て犬だね。わざわざこんな雨の日に捨てなくても。思いやりのない飼い主だ」
 近所のおばさんが、残った子犬を見ていてくれるというので、おじいさんは帰ることにしました。おばさんの家の台所から、お地蔵様が見えるようです。おじいさんは、お地蔵様に手をあわせて帰りました。もちろん、残った子犬に飼い主が現れるようにと願って。

「今帰ったよ、ばあさん」
「おかえりなさい。おそかったのねえ?」
「雨で、道がぬかるんでいたんじゃ」
 おじいさんは、子犬のことは一言も話しませんでした。実は、おばあさんは、とても犬嫌いだったのです。幼いころ近所の犬にかまれて、それ以来、犬とは仲良くつきあえないと思うようになっていたのでした。
 昼過ぎ、おばあさんは買い物に出かけ、おじいさんは、誰かに拾われていますようにと念じながら、お地蔵様の所に行きました。子犬は、まだそこにありました。

「引き取り手がいないのなら、保健所に電話するしかないわね」
 近所のおばさんの言葉が、何とも冷たくおじいさんの耳にはいってきました。
 おじいさんは、自分の子どものころを思い出しました。犬を飼いたかったのに、飼ってもらえなかったこと。大人になったら、きっと飼えると思っていたのに、いまだにその夢はかなっていないこと。
「わしが、この子犬をもらって帰るよ」
「でも、おばあさんは、大変な犬嫌いじゃなかったのかい?」
「いいんじゃ!」
 それは、おじいさんの最後のわがままでした。おじいさんは、おばあさんを何とか説得して、子犬には「リキ」という名前をつけました。

 次の日の朝は晴れていて、いつもと違うのは、おじいさんが子犬を連れていたことでした。お地蔵様の前では、リキの兄弟たちが、みんな幸せになりますようにと、手をあわせました。
 そこへ、近所のおばさんが、出てきて、
「実はねえ。昨日の子犬たち、もどってきたのよ。姉妹たちのお父さんが、反対したらしいの。中学生は、犬を世話しているひまがあったら勉強しなさいと、両親から言われたとかで」
「それで、子犬たちは?」
「夕方、保健所の人が、連れていったわ」
 おじいさんは、リキをしっかり抱いて、古墳を一周しに歩いていきました。

 リキは、みるみる大きくなり、お地蔵様の前では、お座りをして、前足で手を合わせるようなしぐさもします。そのうち、前足をぴたりとあわせて、目もつぶって、おじぎもできるようになりました。
 そんなかしこいリキでしたが、おばあさんとは仲が悪く、じゃまだから、あっちに行けといつもほうきでたたかれます。植木に水をやるときも、必ず水をかけられます。
 リキをいじめるおばあさんでしたが、おじいさんはおばあさんのことが大好きでした。おばあさんもおじいさんのことは、大変好いていました。子どものころのショックが、おばあさんにとっては、大変大きなことだったので、リキを自分から遠ざけるのでした。

 それから、一年後。おじいさんは、急に亡くなってしまいました。
「どうして私をおいて、いってしまうんだい?大嫌いな犬なんか、残さなくたっていいんだよ。うう、…」
 おばあさんは、ひつぎにしがみついて、泣きました。
 おじいさんが死んでから、おばあさんは、リキにえさはやっても、それ以上かまうことはありませんでした。

 一ヶ月後、おじいさんの幼なじみという人がたずねてきました。
「こんなやさしいばさんに、見取られて死んだんだったら、しあわせもんだな」
「幼いころ、どんな子だったんですか?」
「木登りが得意で、柿の木にするすると登ると、みんなに柿をとってくれたよ。やさしかったんだな、リキは」
「え?」
 どうして、リキの名前が出てきたのか、おばあさんは不思議でした。
「体は小さいのに、力があったんで、みんなでリキって呼んでいたんだよ」
「リキというのは、一年前に拾ってきた犬の名前なんです」
「そりゃあ、リキは死ぬことがわかっていたのかもしれんな。それで、拾ってきた子犬に自分の呼ばれていた名前をつけて、名前だけでも、ずっとお前さんのそばにいようと思ったんだ。きっと」 人形劇は終りだよ
 おばあさんは、リキを探しました。リキは、お地蔵様の前で手をあわせて、おじぎをしていました。おばあさんにはその姿が、おじいさんがそこで手をあわせているように見えました。
 それ以来、おばあさんは、リキと毎朝散歩をして、お地蔵様にいっしょに手をあわせました。

この人形劇の人形は、張子でできています → はりこ人形の作り方

引退犬 引退犬 命の物語―命あるかぎり輝きつづけた盲導犬たち (動物感動ノンフィクション)
沢田 俊子 (著), 小山 るみこ (イラスト)
盲導犬は、年をとったらどうなるか、みなさん知っていますか?盲導犬の役目を終えた犬(引退犬)はその後、だれが、どのようにしてめんどうをみているのでしょう。マキシィ、ユキ、グレッグ、バルダ。4頭の引退犬の、命の感動ノンフィクション。

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