パネルシアターの技法
パネルシアターで使われる技法には、次のようなものがあります。
▼重ねばり(ネル生地やコットン紙の利用)
コットン紙は、絵人形を重ねて使うときに便利です。
新しい絵人形は、重ねても落ちませんが、使っているうちにだんだん滑り落ちるようになります。
ネル地を裏打ちしてもいいのですが、重くかさばります。
コットン紙は、それ自体が紙ですので、裏に絵を描いて利用することもできます。
たとえば、「福笑い」のパーツを全部コットン紙でつくるとかして、
すべる心配をしないで、Pペーパーで出来た顔に貼付できます。
そのようなことを考えると、ネル生地よりもコットン紙のほうがお勧めです。
また、パーツの裏全面に貼ってもいいですが、帯状に貼っても同じ効果が得られますし、節約にもなります。
コットン紙の本来の利用目的は、ちょっと高価な本の表紙などに使います。そのような表紙の本は、たいていケースに入っているかと思います。
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絵人形が三つあります。皿とスイカが2個。 |
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スイカを1個、皿に乗せます。パネル板の傾きが緩ければ、滑り落ちることなく、簡単に乗ります。しかし、それでは客席からは、絵人形がちゃんと見えません。そっと注意して乗せても、パネル板が揺れると落ちます。絵人形を手から離すとき、少し滑って絵人形が傾きます。するとまた、絵人形の貼付を調整しなければなりません。 |
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1個目の絵人形を、何とか乗せることが出来ました。2個目は、もっと難しくなります。最初の頃は、うまく重ねて貼ることが出来たのに、日を追うごとに滑りやすくなります。そんな時重宝するのが、コットン紙です。 |
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スイカの裏側に、コットン紙の帯を1枚貼っておきます。あら不思議1枚、2枚、・・と重ねていっても、絵人形は滑り落ちません。スイカ自体をコットン紙で作ってもOKです。
パネルシアターの重ね貼り
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参考:「!?」と「?!」の違い
イリュージョンやトリック
▼裏返し(2枚貼り。ボンドは
発泡スチロール用や木工用ボンドなど)
Pペーパーと言っていますが、紙ではなく布です。水性の木工ボンドを付けすぎると、Pペーパーを通過して、「おいしい影」では、汚い絵や影の仕上がりになります。薄く広く延ばすことが大切です。絵と影を一気に貼り合わせることも出来ますが、一つ一つ貼り合せた方が、失敗せずきれいに仕上がります。ボンドは、乾いたら透明になるものを選びましょう。
▼切り抜き(余白を残す場合と残さない場合がある)
通常の絵人形は余白を残して切り取ります。余白を手に持てば、絵を隠さずに示すことが出来ますし、指の汚れを絵につけることもありません。今回、余白を残さないのは「おいしい影」です。影絵当てのパネルシアターですので、余白を残すと、クリアな影を示せません。抜けの部分は、カッターで切り抜きます。
参考:裏返し技法と余白
▼窓開き(兆番に柔らかい布を利用する。糸止めで回転させる)
「ばけもの寺」では、寺が大きくて収納に困ることがあります。その時は、思い切って半分に切り、切った境界線にやわらかい布を帯にして貼ります。ちょうど兆番のようになり、演じるときはそれを広げて貼付すれば、切っているかどうかは、裏を見ない限りわかりません。
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大きな絵人形を扱うとき、収納に困ることがあります。恐竜の足を糸止めにして、動くようにすれば、足は回転しますので、収納スペースは少しは確保できます。この恐竜は、口が小さいので、糸止めにして動くようにしても、収納スペースは変わりません。ちなみに、口に限って言えば、口が動くようにしても、口を動かす演出がなければ意味のないことです。 |
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思い切って胴を真二つにします。カッターナイフと定規を使って、直線で切り離します。そうすれば、収納スペースに困らなくなります。
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手足などのパーツごとに作って、舞台上で徐々に組み立てるという演出もあるでしょうが、ここでは、一回で登場させる方法です。二つにした絵人形の裏に、ガーゼや裏生地のようなやわらかい布を、兆番になるように貼ります。出すときは、舞台裏で広げて登場させれば、まさか半分になっているとは、客席からはわかりません。 |
▼ポケット技法(カッターで切込みを入れたり、絵人形の裏に隠しポケットを作る)
『みんなでドライブA』では、人形たちがトラックに乗りますが、カッター切れ込みを入れたところに差し込みます。裏をポケット状にしておけば、差し込みすぎは防げます。
『ばけもの寺』では、寺の裏にポケットを作り、そこに化物たちを入れておきます。
参考:『魔法の臼と杵』でのポケット技法・透け・コットン紙
不思議がいっぱいパネルシアター: 楽しいしかけのつくり方・演じ方
▼組み合わせ(場面の設定)
特に大きな背景がなくても、その場面を設定をすることが出来ます。『なぞなぞの森』では、木や草を出すことによって、森を表現します。
▼動作付け(糸をつけて動かす)
遠隔操作をしたいときに、絵人形に糸を付けて引っ張ります。あたかも、絵人形が自動的に動くかのような不思議な感覚を表現できます。もちろん白ネルには白糸を、黒パネルを黒糸を、透視パネルには透明な釣り糸を使います。
大切なのは、技法はあくまで作品を効果的に盛り上げる為のものであって、
技法を使いすぎると、その作品の内容に観客の目がいかなくなってしまいます。
やり過ぎはダメだってことですね。注意しましょう。
補足:
絵人形ばかりの技法を書きましたが、演者自信やパネルボードを使っても工夫するのもいい考えです。
たとえば、魔法の箱からいろんなものを出すときには、箱を中央において、ボードの裏から絵人形を出します。
または、箱をポケットにして、箱の絵人形そのものから出します。この二つを組み合わせてもいいのです。
箱をパネルボードの上端に貼付して、ボードの裏からだします。これだとボード自体がポケットの役目をしていることになります。
パネルシアターの技法には、これがベストだというものはありません。これが効果的だというのがあるだけです。
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