岩野英語塾のホームページ


英語上達のコツ 第4回

Spare the rod and spoil the child.(かわいい子には旅をさせよ)

1.辞書を引く時期は早ければ早い程良い:

 新しい色刷りのテキストを手にして喜んでいる子供たちに、大変残酷なことを言い渡します。「テキストの後についている単語の手引きを切り取って、先生に提出しなさい」その手引きとは、かゆい所に手が届くように、レッスン毎に単語の意味が書き出してあるのですから、過保護もいいところです。中学3年間ほとんど辞書を引かなかった子が、英語の成績が「5だった」などと、得意気に言っているのを聞きますが、Easy come, easy go.(悪銭身につかず)です。

 かわいい子には旅をさせなければいけません。過保護が子供を駄目にしていく様をいやという程見て来ました。その恐ろしさは、麻薬のように、子供にだんだん考える能力を失わせ、気が付いた時には独り歩きの出来ない甘えん坊にしてしまっています。英語を道具にして、頭を使うことを教えるのも、英語教育の大切な役割のひとつだと思います。

 Thinking in English(英語で考える)と同時に、Thinking through English(英語を利用してものを考える)ように育てます。ひとつの言葉には色々な意味があって、どの意味がこの場合適切か、また、どのように使えるのか、といった言葉の役割は、辞書を引くことによってのみ理解出来るようになります。辞書を引くのを苦にしない子に育てておくことが、高学年になればどれ程大切なことかを知ることでしょう。辞書を引くことで、動詞には自動詞と他動詞があることや、文脈の中から、その語の品詞を知らないことには、辞書すら満足に引けないことを悟るでしょう。高校に入学した喜びも束の間、辞書を引くことに如何に多くの時間を使わなければならないかを知って、いつの間にか英語アレルギーになってしまう子もいます。

2.学校の教科書を教えるな:

 「学校の教科書は学校で勉強するものだ」と言う基本の姿勢を忘れて、内申を気にするあまりに、塾で学校の教材を教えれば、どれ程依頼心の強い子を作ってしまうことか。子供たちは、学校の授業をしっかりと聞くことを忘れ、軽視したりするようなとんでもない過失を犯してしまいます。速攻的に学校の成績は上がっても、勉強の原動力である好奇心は失われてしまいます。「ここが試験に出る」と言わなければ興味も示さず、覚えようともしない子は、ある意味の病人と言ってよいでしょう。「何かを知りたい」という知的好奇心を育てるどころか、その芽を平気で摘んでしまっているのです。中学校の3年分の教科書の単語を全て覚えたところで、1000語足らずです。大学入試に必要とされる単語数は、少なくとも5000〜6000語と言われています。自然の好奇心から自発的に勉強しようとする子供の意欲をいかにして育てるかに思い至った時、「かわいい子には旅をさせよ」という諺の真実を、英語教育の中にも見出すことがしばしばです。本来勉強とは、「自分で苦労してするものだ」という本質を見つめた上で、努力の正しい方向を指し示してやるべきです。

3.参考書を読める子に:

 6年生では、正しい英語の発音と、良い勉強の習慣を身につけることに力を入れて来ました。教える技術的な面も、学年を追って次回から紹介していきたいと思いますが、高校までに、参考書を読める子供にしておきたいものです。そのためには、適切な参考書を指示し、読んで来たある主題について、友人たちの前に出て説明出来るようにするのです。こうして語学教育にとって大切な勇気 ― 人前で間違うことを恐れない ― を与えてやらねばなりません。文法の基礎知識をしっかり身につけるためにも、中学3年間で文法書を、独学出来るようにしておくことが、大切だと思います。