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英語上達のコツ 第10回

What one likes, one will do well.(好きこそものの上手なれ)

 「苦しい英語の勉強を、どうしたら好きにさせられるのか。」これについて悩まなかった教師はいないでしょう。そこで、どうしたら楽しく教えることが出来るかと、全知全能を発揮するのです。例えば、現在完了は have + p.p と、いくら形式を知っていても、日常生活の中でその効用を知り、「何と便利なものだろう!」と感嘆して、はじめて子供たちのものとなります。そして、次の段階に入ったらそれっきりではなく、連続して使い続けることが大切です。現在完了を、感覚としてしっかり把握していれば、過去完了、未来完了は、自然に理解出来るでしょう。

Ex.(1) Spring has come.

 「春が来た、春が来た、どこに来た、山に来た、里に来た、野にも来た」と、音痴にもめげず、小学唱歌を子供たちと一緒に歌います。子供は、鳥のさえずりを聞き、花の開くのを連想します。「さあ、今は春ね」と言いながら、黒板に“Spring has come.”と、“Spring came.”を書き、その二文を比較させ、現在完了のメリットを体験させます。と同時に、「冬来たりなば春遠からじ」と言いながら“Spring soon comes after winter.”と書きます。現在形を使っていても、今が春とは限らないことを理解させ、前に教えた現在形との比較を必ずしておくことが必要です。繰り返して申しますが、子供たちを授業に参加させるためには、生き生きした例文を、日常生活の中から出来る限り数多く準備して、子供たちと一緒に演出することです。

Ex.(2)
  “The sun rises in the east.”
  “The sun is rising.”
  “The sun has risen above the mountain.”

 と、朝日が山の端に昇ってゆく絵を描きながら、時の流れを会得させます。

Ex.(3)
  (A) How old are you?
  (B) How old you are!

 「女性に向かって(A)のように尋ねることも、(B)のように言うことも失礼だけど、先生には(B)のようなことは言わないでね。先生はまだまだ若いつもりで頑張っているのだからね。(A)と(B)の文はどこが違うかな?」「? と!や」とか、「 are you と you are になってる」とか、生徒達はうれしそうに答えます。

Ex.(4) writeとWrite.

 上の二つを比較させることによって、文は大文字で始まりピリオドが必要なことを悟らせます。‘write’は「書く」という単語で、‘Write.’は「書け」という文であることを知り、ただ単に長いだけが文とは限らないことが理解出来、文には動詞(心臓)が必要なこともわかります。ひとつの節にはひとつしか動詞がない、単文・複文・重文の相違も教えておくとよいでしょう。これらが理解出来るようになると、子供たちが次にぶつかるリスクである動詞の変装を見破れて、準動詞に向かうことが出来ます。

動詞の変装(その1)

Ex.(1) He likes to play.

 子供にとって‘ike’と‘play’の二つの動詞が出て来るのは不思議ですが、動詞に3単現の‘s’または‘es’がつくことは既習の事実ですから、likes は動詞でも、play は動詞でないことを知ります。

    P(生徒):Tom likes 〜.
    T(先生):What 〜?

と先生は必ず疑問詞をさしはさみ、

    P     :Tom likes to play.

 と答えることによって、to play の部分は目的語(名詞)であることを悟らせます。

 次に、動詞は、名詞に変装するばかりでなく、副詞にも形容詞にも変装することを教えます。

Ex.(2) We go to school.

    P    :We go to school 〜.
    T    :Why 〜?
    P    :〜 to study, but not to play.

勉強するためで、遊ぶためではない。to play の部分が副詞に変装したのを理解します。教師の頭の中には、次に教えるべき段階の青写真がなくてはなりません。