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英語上達のコツ 第9回

Language is living.(言葉は生きている)

 言葉は、最高の観念の遊戯でもありますが、素朴な生活の表現でもあるのです。流れている時の感覚を身につけるためには、色々な時制をミックスして教えなければなりません。それなのに、中1の1年間で動詞の現在形しか教えないのは、不合理な気がします。教える側にすれば、時を分類して教えた方が便利でしょう。便利で能率の上がる教え方をするよりも、少々時間がかかっても、次の段階に発展していける応用力の 言葉は、最高の観念の遊戯でもありますが、素朴な生活の表現でもあるのです。流れてつく教え方をすべきです。言葉は生きているのですから、手足をバラバラにして教えてはいけません。

(1)時制 (Tense) は、過去 (past) 、現在 (present) 、未来 (future) の、少なくとも三本の柱はミックスして教えるべきだと思います。不規則動詞の変化は、算数の九九を教える要領で、徹底的に反復練習して、リズムで覚えさせます。

 Ex. You were a bad boy, but you are a good boy now.

 友人を相手に練習して、Last year や now, yesterday, today 等も加えて、より生き生きと会話させます。口で十分言えるようになってから書く練習をします。どんな場合でも会話の導入が大切です。

(2)「三単現の s 」は誤解を招く:

 時折り、文法の説明文に不自然なものを見出すことがあります。「主語が三人称単数の文は、動詞の現在形にs又はesをつける。」これは、生徒達の誤解を招きやすい難しい所です。いくら頭の中で理解していても、よほど訓練していなければ落としてしまいます。

 Ex. (1) Tom goes to the movies.

 この文は、まことに奇妙な文です。「トムは映画に行きます。」と訳せば、これから行くことになります。

Tom is going to the movies. または、Tom will go to the movies. でなければなりません。

Tom often goes to the movies. / Tom goes to the movies once a month.

 上の、often や once a month のような副詞か副詞句を加えて、習慣になっていることこそ現在形を使うのだ、と理解させなければなりません。「go の三人称単数には‘es’をつける」と教えると、現在の動作、即ち、英語では現在進行形で表現すべきものを連想するでしょう。こうしたリスクは、現場で教えている者なら、一度や二度は経験があるに違いありません。

    Tom sometimes goes to the movies.
    Tom is going to the movies with Jane.

 上の二文を必ず比較させながら教えねばなりません。

Ex. (2) My father reads a book.

 上文には、教師から“When?”の問いかけが必要です。

My father reads a book after supper.

 こうなってはじめて、父の夕食後の習慣なのだと悟ります。

Ex. (3)

   I'm going to eat a banana.      「さあ、バナナを食べましょう。」(皮をむく真似をします)
   I'm eating a banana.        「とてもおいしいわねえ〜。」(さもおいしそうに、食べる真似をします)
   I have eaten a banana.       「ああ、おいしかった」 (皮を捨てる真似をします)
   I will eat a banana tomorrow, too.  「明日も食べよう」

 先生は、ユーモアのセンスを発揮して、ジェスチャーたっぷりに、子供たちと一緒に演出します。