7、物語のリズム(お話の様式化)
絵本にリズムがあると、自分の声をのせやすく、最終ページまで興味を持たせやすくなります。文章が少ないのが特徴です。絵の展開にもリズムがあり、ページめくりがしやすい絵本にもなっています。
お話が長いものでもその話自体にリズムがあれば、聞き手の年齢が下がることがあります。主人公の台詞にリズムがあり展開が分かりやすくなったものもあります。
お話の様式化(繰り返し三回)
昔話のように現代に受け継がれて残ってきたお話には、必然的に様式化されたものがあります。様式化することによって、聞き手が聞きやすくなったり、聞き手の期待を裏切らずにお話が展開したりという役割がなされます。また、話し手も物語の全体像をイメージしやすくなり、様式化を理解することによって、ツボを心得た話し方が出来るようになります。
よくある様式化のひとつに、「繰り返し三回」というものがあります。例えば、「三匹のこぶた」のお話の中に、オオカミがわらの家を吹き飛ばす時に「ふうー、ふうーのふうーっ!」と吹き飛ばす場面がありますが、これは「いち、にいのさあーん!」と吹き飛ばすリズムと一緒です。人間の呼吸や鼓動に通じるリズムをつけて、三回目に実行するというやり方です。リズムのあるお話は、聞いていて心地よいもので、話し手も気持ちをのせやすいという良さがあります。
お話の中には、もう少し大きいリズムもあります。それは、オオカミが、藁、木、レンガの家を順々に吹き飛ばそうとするリズムです。これも「繰り返し三回」になっていて、三回目にお話のクライマックスをむかえます。三枚のお札の話もいっしょです。聞き手も「もう、そろそろ終わりに近づいてきたな」「ここらあたりが、山場かな」と直感的に感じ取ります。このように、「繰り返し三回」は、部分的なリズムから全体的なリズムへと移行して、お話がどんどん脹らんでいくという様式化です。
参考:この絵本は何歳向き?
絵本の読み聞かせの役割
ボクシングに、ワンツーという攻撃があります。ワンンツーより、「それでは相手が倒れないから、ワンツースリーを打て!」とセコンドはアドバイスをします。そのほうが相手へのダメージが大きくなるからです。このワンツースリーが、ここで言う繰り返し三回です。こどもたちの心を打つのも、このワンツースリーです。
三つのお願い by はた こうしろう
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ぞうくんのさんぽ by なかの ひろたか
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三びきのごきげんなライオン by ロジャー デュボアザン
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三びきのくま by 森山 京
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