3、絵本の文章量
絵本の文章が少ないからと言って侮ってはなりませんが、初心者は一般的には文章量が少ない絵本から手がけていきます。そのほうが、話し手が言葉につまる事も少なく、ページ数が少ないことが多いので、聞いている方も疲れません。 一方、文章が多くても少なくても、物語に起承転結があれば理解しやすくなります。起承転結というのは、物語をわかりやすい構造で示し、聞き手はその手順に沿って聞き進めます。原作者もそのような手順で書き進めれば、基本的なことが押さえられます。 すべての物語が、起承転結に当てはまるわけではありません。結論を先に持ってきて、なぜそうなったのか読み解く手法もありますし、終わったかに見えて第二章に続くと予感させることもあります。どんな構造で物語を組み立てるかは、原作者の自由なのです。ヤマ場ヤマ場で息つく暇もないホラー映画があるかと思えば、漫才や落語のオチのように、さらりと締めくくられるものもあります。つまるところ、文章の多い少ないに関わらず、心を込めてゆっくり読むことが大切です。 絵本を読むときの位置関係
大勢のクラスの中で読み聞かせをするときは、話し手と聞き手が向い合うことになります。絵本とこどもたち、話し手とこどもたちという構造で対峙します。しかし、普通は絵本を話し手の横に持ってきます。話し手自身に注目が集まらなくてもいいのですから。 こどもたちと向かい合ってはいるのですが、斜め前で向き合っている形を取ります。ここでの位置関係は、こどもが自立する位置においているということです。大勢で絵本を見ているのですが、その絵本との出会いは、聞き手一人一人の個人的な出会いで独立しています。 絵本の読み聞かせは、その作品を通して、絵本・話し手・聞き手の三者の相乗効果で成り立つものですから、物理的な位置のことも考えながら読むことが大事です。 |